情熱と信念が紡ぐ音楽の物語

武蔵野音楽大学

情熱と信念が紡ぐ音楽の物語

PEOPLEこの人に取材しました!

ジョン・ハオさん

オペラ歌手

中国瀋陽出身のジョン・ハオさんは、2001年に中国中央オペラハウスに入り、オペラ歌手として重要な役を演じた。その後、2007年に日本でもデビューを果たし、さまざまな舞台に立ち、存在感のあるバス歌手として注目を集めている。
〈プロフィール〉中国瀋陽出身。2001年に中国中央音楽学院卒業後、中国中央オペラハウスに入り、オペラ歌手として重要な役を演じた。2005年来日、東京芸術大学大学院音楽研究科声楽(オペラ)専攻修士課程修了。2007年芸大創立120周年記念『ラ・ボエーム』のコッリーネで日本デビュー、一躍脚光を浴びた。
近年国内でも『イリス』『椿姫』等で存在感ある演唱が光る。オペラ歌手として『ドン・カルロ』、『セビリアの理髪師』、『フイガロの結婚』、『魔笛』、『トゥーランドット』、『アイーダ』、『マクベス』、『トスカ』、『リゴレット』、など重要な役を演じる。存在感ある美声の貴重なバス歌手として内外の注目を集めている。2007年、第38回イタリア声楽コンクール(毎日新聞社、日本イタリア協会主催)シエナ部門第1位シエナ大賞受賞。二期会会員。

Q:いつからオペラに興味を持ち始めましたか?

大学卒業の年です。日本でオペラ歌手を育成するためのマスタークラスに参加したことがきっかけで、オペラに興味を持ち始めました。

Q:声楽を学んだ理由は何ですか?

声楽を学んだ理由はたくさんあります。まず、自分の芸術的な教養や表現力を高めることができると考えたからです。また、声の可能性を引き出し、自信を持つことができるようになります。さらに、呼吸や発声の技術を改善し、音程感覚を養い体の調和と呼吸の調整能力を高めることができます。声楽を学ぶことで、音楽がもたらす感情の解放や心の癒しを楽しむことができると思っています。

舞台に立つジョンハオさん

Q:あなたの音楽の道に深い影響を与えた音楽家はいますか?その理由は何ですか?

深い影響を与えた素晴らしい音楽家はたくさんいます。大学時代の恩師は、私にとって学びの模範であり続けています。彼は非常に勤勉で責任感が強い方でした。困難に直面したとき、私はいつも「もし趙先生が同じ状況にいたらどうするだろう?」と考えます。彼は私の成長の過程で素晴らしい導き手であり、模範を示してくれました。

 

Q:音楽はあなたの生活においてどのような役割を果たしていますか?あなたにとってどんな重要な意味がありますか?

音楽は私の生活の中で、まずは生活の糧を得る手段です。しかし、この仕事は非常に楽しんでいます。自分の歌声を使って、美しい感情を聴いている人々に伝えることができるのは、私にとって非常に幸せなことです。

プログラムを手に

Q:学習の過程でどんな困難に直面しましたか?もし困難に直面した場合、最も難しい問題をどのように解決しましたか?

特に大きな困難はありませんが、問題があれば解決方法を考えます。困難に直面したとき、私たちはつい後退したり逃げたりしたくなります。しかし、私はその恐れを克服し、自分を乗り越えなければならないと感じています。 “Never mind”という気持ちで。自分自身と戦うことがやはり一番重要だと思います。

鳩山由紀夫元首相と

Q:オペラ作品を演じる中で、どのような経験や出会いが特に印象に残っていますか?また、同じ役を異なる企画で演じる際に、解釈がどのように変わると感じますか?

私が演じたすべてのオペラ作品には、私の人生の中で素晴らしい記憶が残っています。オペラを演じるたびに、異なるオーケストラ、異なる演出家、異なる共演者と出会います。同じオペラ、同じ役でも、異なる企画で演じるとまったく違った解釈が生まれます。そのため、オペラの役を演じるたびに、特別な記憶が生まれます。

舞台「マクベス」のアンコール

Q: 普段、喉を守るために食べ物に気をつけていることはありますか?

あんまり気を使っているわけではありませんが、舞台前には油っこいものや塩辛いものを避けるようにしています。これらは喉を渇かせる原因になるからです。喉が乾くと唾液の分泌にも影響を与え、水分を取ったりトイレに行ったりする手間がかかるので、舞台前はなるべく油っこいもの、ラーメンなどは避けるようにしています。

Q:温かい水と冷たい水、どちらを飲みますか?

水についてはあまりこだわりません。できるだけ自分の仕事と生活を一体化させて、特別なことをしないようにしています。だからこそ、舞台に立ったときにも平常心でいられると思います。

Q:練習はどれくらいの時間をかけますか? 

練習は好きで、時間があればできるだけ多く練習します。忙しいときは練習時間が取れませんが、時間があれば1日に8~9時間練習することもあります。これは声を出さずに楽譜を見ながら練習する時間ですが、声を出して練習する場合は2時間くらいを目指しています。

Q: 練習時の発声練習で使う音名はどれが多いですか?

自分の状態が最も良い音名から練習を始めます。私は「o」という母音が一番状態を見つけやすいと思っています。その後、oからrに変え、さらにa、i、最後にoからwuに移行します。自分に合った練習法を選んで、その日の喉の状態に合わせて練習するのが大切だと思っています。

Q:発声時に気をつけていることは何ですか?

発声時に気をつけるべきことは、体のバランスを取ることです。最初は力を入れすぎず、リラックスした状態で軽いポイントから始めることが大切です。

Q:どんな食べ物が好きですか?

何でも好きです。特に食事に制限を設けていないので、何でも食べます。

Q:朝はコーヒーを飲みますか?

はい、飲みます。朝だけでなく、毎日何杯もコーヒーを飲みます。寝る前にも大きなカップで飲むことがあります。

Q:今、仕事は忙しいですか?

仕事は時期によります。年始は演出が多く、比較的忙しいです。4月~5月は少し落ち着きますが、6月~7月からは再び忙しくなります。

Q:趣味を仕事にすると、楽しさと疲れのどちらが多いですか?

趣味が仕事になると、確かに疲れもあります。趣味が仕事になると、必ずプレッシャーがかかります。趣味の場合は、歌いたいときに楽しく歌えばよかったのですが、仕事だと歌いたくないときでも歌わなければなりません。さらに最良の状態で歌うことが求められるので、時には疲れることもあります。

Q:よく行く場所はどこですか?

実は、マクドナルドです。私はあの騒がしい環境の中で楽譜を見て勉強するのが好きで、逆に騒がしい環境の方が集中できるのです。

Q:暇なときは何をしますか?

ジムに行ったり、読書をしたりします。あとは、ネットを見たりゲームをしたりすることもあります。当然、家族と一緒に遊んだり、みんなと食事に出かけたりすることも楽しんでいます。

Q:イタリア語の歌とドイツ語の歌にはそれぞれどのような魅力や特徴があると感じますか?また、曲を選ぶ際には、どのような基準で言語や作品を選ばれますか?

イタリア語の歌が比較的多いです。イタリア語の歌とドイツ語の歌にはそれぞれ特徴がありますが、選ぶ曲は作品のスタイルや感情表現によって異なります。イタリア語の歌は、特にオペラの分野では、発音と旋律が声楽技術を表現するのに非常に適しています。一方、ドイツ語の歌は、特にドイツの芸術歌曲では、歌詞の深さと感情表現が重要であり、より直接的で深い芸術体験を提供してくれます。両者にはそれぞれの魅力があり、演奏する目的や状況によって使い分けます。

舞台「マクベス」

Q:将来もずっと歌い続けますか?

歌い続けるつもりです。歌は私が感情や思いを表現する手段であり、心身の健康を保つための活動でもあります。練習と学びを重ねることで、自分をさらに高め、深い芸術の魅力を発見できると思っています。歌うことで自分自身の満足感を得るだけでなく、その歌声を通じて他の人々にも美しさや感動を伝えたいと考えています。

(インタビュー:2024年11月)

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