カミングアウトしなくてもよい世界へ

法政大学

カミングアウトしなくてもよい世界へ

PEOPLEこの人に取材しました!

ライアンさん

会社員

アメリカのカリフォルニア州出身で小学5年生の時に歌手のGACKTに興味を持ち、21歳の時に日本に引っ越してきた。アメリカの中でもカリフォルニアというLGBTQ+に対しての考えが進んでいるところで育ったライアンさんが、世界的に見ても相対的にLGBTQ+に対してマイノリティな日本に住んで感じた、LGBTQ+への日本とアメリカの価値観の違いをお聞きしました。

Q:出身はどちらで、日本に住むことを選んだ理由は何ですか?

アメリカ生まれ、カリフォルニア州の出身です。小学校5年生の時に、アメリカの友達に歌手のGACKTの曲を聞かせられて、なぜかその時日本語を勉強して、日本に住みたいって思い始めました。 それが2005年で、そこから10年間、ずっと日本語を勉強して、大学で日本語を専攻し、21歳の時に、日本にあるアメリカの大学に転学して、引っ越してきました。だから、きっかけは、GACKTです。Q:職場や学校で、自分がLGBTQ+であることをオープンにしていますか?
13歳にカミングアウトしてからずっとオープンです。
日本に引っ越してからは、 学生の時は英会話のバイトしてて、そのバイト先の偉い人たちはみんなアメリカに10年とか15年とか住んでたから、そこは普通に問題なくカミングアウトしていました。でも、今は普通に日本の会社に勤めていて、自分以外はみんな日本人でみんなすごいいい人。でも、やっぱり日本はアメリカと違って、カミングアウトするだけでクビになって、でもそれは何の問題にもならないみたいな感じだから、やっぱりそれがちょっと怖くて、最初の多分2年間ぐらい会社で言ってなかった。今は会社で言ってます。今の会社4年目なんだけど、普通に問題なくやっています。最初の2年間は、自分の人生で初めて毎日関わってる人にあえて隠していたんです。

Q:日本の「社会的な空気」(例えば、見えないけれど存在する偏見など) についてどう感じますか?

私は日本人じゃないから、 ゲイなどそういうところのそもそもの扱いが違うと思う。日本人がゲイってカミングアウトするのと、外国人がカミングアウトするのとやっぱ違うと思う。私はそもそも日本人じゃない、よそのものだから、 LGBTQ+などは海外の人がやることだからみたいな考え方は多分ある程度あると思う。日本人にはゲイがいないっていう考え方がどこかにあるのかなとは思う。

Q:出身国のLGBTQ+に対する態度と、日本の態度を比較すると、どのような違いがありますか?

LGBTQ+に対してはアメリカの方はどっちも極端。極端に受け入れる人もいれば、極端に反対とか抵抗してくる人もいる。でも日本はその中間。日本がいいのは、認めてくれないけど、別に強く反対もしない。あんまり気にしてない。そもそもの理解度っていうか、やっぱり自分がアメリカの中でも結構進んでるところ、ゲイが結構認められてるカリフォルニアで生まれたから。アメリカ全土で見ても、ニューヨークとカリフォルニアは同じぐらい進んでるというところで……。日本に来て、ゲイは心が女みたいな考え方の人が結構いるんだけど、いやいや普通にバリ男なんですよって思いながら、でも、日本は悪気があるわけじゃなくて、分かってない、知らない。多分周りにいない。いや、多分いるけど、その人は周りには言ってないから、周りにいないって思ってるから、馴染みがない。馴染みがないっていうところが1番大きいと思う。アメリカは例えば、ドラマとかだと結構、ゲイキャラがいたりするとか、文化の一部として入ってる。それは、いいところ悪いとこもあるんだけど、シンプルに文化の一部として捉えてるっていうか、取り扱ってるっていうか、入ってる。

Q:日本の行政や法律(例: パートナーシップ制度など)について、LGBTQ+として不利に感じる時はありますか?

あります。自分は子供が欲しいけど、こっちで結婚はできないから、同棲カップルで 親になるのは実現できない。お父さん2人でどっちも法律上お父さんっていう家庭は実現できないっていうのは、家族は作れないわけ で、やっぱりそれがかなり大きいと思う。それで、帰国したとか日本を出たっていう友達は普通にいます。いつか家族が欲しいからここでルーツを作っても、いざ家族を作ろうとなった時に作れないっていうのは、やっぱり将来的に日本にはいられないっていう人は全然いる。それが自分の中で1番不利なところ。あと、さっき言ってたように、ゲイだからクビになる場合でも何の法律上の守りがないっていうのもやっぱり不安。

Q:これから日本の行政や法律が変わって欲しいなどはありますか?

自分はやっぱり法律が変わってほしい。同性婚ができるとか、さっき言ったようにお父さん2人とかお母さん2人の家庭も認められるとか、そういう生活の中心にあるものは法律じゃないと足りない。あと、パートナーシップ制度は、何もないよりましだけど、海外の友達に誤解されて、日本で結婚できるんだみたいなこと言われるんだけど、結婚ができるんじゃなくて、そのパートナーシップ制度がある区とか自治体でパートナーシップを結んだら、 病院とかで家族として認めてくれるもの。でもパートナーシップ制度がある自治体だけに限られてるから、そういうのじゃなくて、もちろん無いよりはいいんだけど、理想は全国で法律レベルになってほしいです。そこまでのちゃんとした法律でなければ、表面のものだと、表面の安心しかない。だから、根本まで変わってほしくて、そうしたら安心できるみたいな感じ。

Q:日本のLGBTQ+のコミュニティはどのような影響を与えていますか?

新宿二丁目にはたくさんのLGBTQ+の人がいて、そのコミュニティは雰囲気が落ち着くっていうか、ワイワイするけど、違う意味で、落ち着くとか、楽になるっていうか、別にそれが異性愛者の友達と一緒にいる時は、気遣ってるとかいうわけではなく、自分を理解してくれる人はいるけど、二丁目はほとんど周りの全員がLGBTQ +の当事者で、自分にとってそれが特別な安心感や解放感を与えてくれる。友達も沢山作ることができるし、週末何するか、どこ行くか、誰が空いてるかスケジュール合わせようとかを一切考えずに、とりあえず二丁目に行けば誰がいるだろうっていうところがあるっていうのは自分の中ですごい大きい。

Q:これから日本にどう変わって欲しいとかはありますか?

あります。法律について言ったのは、やっぱり、理性的に考えてって話。でも、人として、法律が変わったその先にある安心感とか、その変わった先に待っている生活とかがほしい。だから、日本でも、少しずつでいいから、まず親だろうが職場だろうがカミングアウトをしても、普通に、そうなんだ、オッケーオッケーっていえるように、重い発表ではなくて、気軽に言える環境になってほしい。さらに言うと、 今のアメリカみたいにカミングアウトする必要さえなくなって、最初から同性に興味あればそのままぱって何気なく言えるところまで進んでほしいなとは思う。

(インタビュー:2024年11月)

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