何をやりたいのかが大事

カンタベリー大学

何をやりたいのかが大事

PEOPLEこの人に取材しました!

伊藤悠さん

教師

伊藤先生は、日本で先生をしていて、海外で教えたいという気持ちがあったといいます。クライストチャーチでラグビーをしていた大学の先輩から紹介してもらい、ニュージーランドに来ることを決めました。ニュージーランドに来て21年になる伊藤先生に、日本語を教える難しさややりがい、大切にしていることを聞きました。

Q:ニュージーランドの生活で一番慣れなかったことや驚いたことは何ですか?

英語で“Don’t take it personally”と言いますけど、自分のことを先にして、ほかの人のことは後回しにして考えることは、いまも慣れないですね。私は自分のことはもちろんだけど、相手の幸せも一緒に考えるようにしています。

一番驚いたことは、クリスマスの文化です。ホームステイをしていたときに、クリスマスにたくさんの家族が集まって、34日間、食べて飲んで喋っていたのに驚きました。日本ではないことなので。それからホストファーザーは20歳ぐらい年上なのに、何度も「Call me Mike, call me Mike」と言っていました。でも「Mike」と呼ぶまでに2ヵ月ぐらいかかりましたね。敬語などのフォーマルさが、ニュージーランドの英語にはあまりないので、最初はびっくりしました。でも今では、それがすてきな文化だなと思います。

   

Q:日本語の授業で教えるのが難しいと思うことは何ですか?

一番難しいのは、文化の違いをじょうずに伝えることで、やっぱり時間がかかると思います。たとえば、9年生は文化の違いを説明しても、何となくしかわからないけど、年上の学生なら文化の違いがもっとよくわかりますね。

私は9年生(日本の中学2年生)の授業で一番最初に「思いやり」を教えます。自分の状況もあるけど、相手を助けることによって、自分も良くなると思うんです。みんながつながっているんだというのを伝えるのは難しいです。でも大切にしています。

ニュージーランド人と日本人には似ているところが多いです。だから、優しさや気づかいなど、伝えやすい面もあります。

Q:日本語を教えることの最もやりがいのある点は何ですか?

私の生徒が日本語をすごく楽しんで、上手になって、今回のように、こうやってインタビューで戻ってきてくれると、一番感動するし、よかったとすごく思います。

私は文法を教えるのが大好きなのですが、生徒がアニメやゲームを楽しむ姿よりも、学んで自分の日本語の力が伸びたと実感して喜んでいるのを見るときにやりがいを感じます。

Q:別の言語を学ぶことは大事だと思いますか?

とても大事だと思います。私の3人の子どもはニュージーランドで生まれて、言語を学ぶことで考え方や感じ方、特に感受性の部分が育っています。だから、34の言語を学んでほしいと思います。ただそのときには、バイリンガルでもときどき間違いをするので、ほかの言語を学ぶときには自分自身に優しくすることが大事だと思います。

   

Q:日本語を学んでいる人へのアドバイスは何ですか?

一番のアドバイスは楽しむことです。あの日本人と話したいとか、日本に行きたいとか、やっぱりそういう夢があると、一所懸命勉強すると思います。私も英語がうまくなりたいっていうよりは、ホームステイしてホストファミリーと話したかった、何と言ってるのかそれから自分のことを伝えたいとすごく思って、英語力が伸びたので、そういう強い気持ちが一番だと思います。

Q:ニュージーランドに移住を考えている人にアドバイスはありますか?

先ほど話したこととも重なりますが、英語を勉強することだけを目的に来るのではなく、「やりたいことがあるから来る」という気持ちが必要だと思います。私自身も、教師になりたという夢があって、その思いを持ってニュージーランドに来ました。英語だけが目的だと、たぶん難しいと思います。自分が何をしたいのかを見つけることが本当に鍵になってくると思います。

    

 

(インタビュー:2025年4月)

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