ゲームにおける音楽の役割

武蔵野音楽大学

ゲームにおける音楽の役割

PEOPLEこの人に取材しました!

金 鴻(きん こう)さん

ゲーム音楽作曲家

中国・杭州出身。幼少期からピアノを学ぶ。15年以上のピアノ経験に加え、ギターやヴァイオリンにも親しみ、演奏と作曲の双方から幅広い音楽表現に触れてきた。2020年に来日。音楽系の専門学校および武蔵野音楽大学で作曲・アレンジを専門的に学び、オーケストラ、プログレッシブメタル、ジャズ、アンビエントなど多ジャンルを横断する独自のスタイルを築いていく。現在はゲーム音楽を中心に、アートプロジェクトや展示、映像作品など物語を支える音楽表現の探求を続けている。

経歴と現在の仕事について

Q:これまでのご経歴を教えてください。

最初はピアノを学んでいましたが、次第に編曲や作曲に興味を持つようになりました。中国の大学在学中には友人とバンドを組み、プログレッシブ・メタルからジャズまで様々なジャンルを試しました。当時は主にカバー演奏が中心でしたが、作曲こそが自分自身を表現する方法かもしれないと意識し始めたのは、まさにその時期です。

バンドでライブ演奏

来日後、専門学校と武蔵野音楽大学で学び、現在はプラチナゲームズでコンポーザーとして勤務しています。主にゲーム音楽の制作とエンジンへの実装を担当しており、『ベヨネータ』シリーズの続編や『NINJA GAIDEN 4』などのプロジェクトに携わりました。

ゲーム音楽の特性と制作のこだわり

Q:ゲーム会社でお仕事をされるようになったきっかけは何ですか。

専門学校のゼミの授業で、初めてゲーム音楽とサウンドデザインの制作フローに触れたことが、ゲーム業界に入る大きなきっかけとなりました。

Q:現在、主にどのようなお仕事を担当されていますか。

現在は主にアクションゲームの音楽制作を担当しており、バトル曲、シーン曲、イベント曲の作曲・編曲のほか、音楽とゲームエンジンの連携・調整も担当しています。

Q:日々のお仕事の中で、特に印象に残っていることはありますか。

私たちの会社のサウンドセクションには、室内楽団と電子音楽のサークルがあり、メンバーは異なる部署から集まっています。皆で一緒に演奏したり、即興セッションをしたり、作品を共有したりしています。

このような雰囲気は、ゲーム音楽が単なる仕事の一部ではなく、皆が共通して愛する「生活の一部」であると感じさせてくれます。

Q:ゲーム音楽は、他のジャンルの音楽と比べてどのようなユニークさがあるとお考えですか。

ゲーム音楽の最大の特徴は「インタラクティブ性(双方向性)」です。単に再生されて終わるのではなく、プレイヤーの行動やシーンの変化に応じてリアルタイムに切り替わる必要があります。音楽はBGMとしてではなく、ゲーム体験の一部にならなければなりません。

そのため、作曲時には多くの「ノンリニア(非直線的)」な構造や繋ぎ方を考慮する必要があり、この点は映画音楽やアルバム収録用の音楽とは全く異なります。

Q:ゲーム音楽を創作・制作する上で、最も重視していること、また最も難しいと感じる部分は何ですか。

最も重視しているのは「音楽性」です。効果音に埋もれてしまわず、かつテーマに沿った上で個性を保つことを意識しています。

最も難しい部分は、音楽としての完成度とゲーム内での表現とのバランスです。時には、楽曲単体で聴くと非常に素晴らしいものでも、ゲームに入れると効果音をかき消してしまったり、過剰に聴こえてしまったりすることがあります。

Q:普段はどのようなジャンルのゲームがお好きですか。

子供の頃は『トゥームレイダー』が大好きで、最も影響を受けたシリーズの一つです。

普段は音楽ゲームやRPGが好きです。もちろん、作品の音楽が十分に素晴らしければ、それだけでも自然とプレイしてみたくなります。

音大での学びと将来へのアドバイス

 

Q:音楽大学での学習経験は、現在のお仕事にどのように活かされていますか。

音楽大学での学びは、作曲と管弦楽法の強固な基礎を築いてくれました。また、様々な作曲家の構造や和声のロジックを分析する方法も学びました。

特に武蔵野音大では、先生から作品分析と室内楽の創作を続けるよう指導されました。この訓練によって、私の構造的思考力と音楽的表現力は大いに高まりました。

さらに、大学時代に触れた現代音楽の作品や美術史の授業は、ゲーム音楽の世界観をデザインする上で、より視覚的かつ物語的な感覚をもたらしてくれました。これはアートチームと協力する際に特に役立っています。

武蔵野音楽大学時代

Q:ゲーム音楽の分野に進みたいと考えている音楽大学の学生へ、何かアドバイスはありますか。

皆さんには、音楽そのものだけでなく、ゲームの仕組みについても少し理解しておくことをお勧めします。例えば、オーディオがエンジン内でどのように呼び出されるのか、音楽がプレイヤーの体験にどう影響するのか、といったことです。

また、早い段階で小規模なプロジェクトでも実践に参加することが非常に重要です。たとえインディーゲームや学生の作品であっても、実際に制作を経験することで初めて「ゲーム音楽」のリズムと構造を真に理解することができます。

最も大切なのは、情熱を持ち続け、常に新しい表現方法を試し続けることです。

(インタビュー:2025年11月)

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