国境を越えて夢を追うスリランカのマーシさんの挑戦

法政大学

国境を越えて夢を追うスリランカのマーシさんの挑戦

PEOPLEこの人に取材しました!

マーシ マナメンドラさん

レストラン勤務

スリランカでは市役所で働いていたが、日本のドラマ「おしん」に影響を受け、日本で働くことを決意。将来、自分でレストランを経営し、ビジネスをはじめるために、現在はUMIバル新宿店で週5日、11時から23時まで働き、料理を勉強中である。そんなヒマーシさんにとって、理想とするビジネスパーソン像、今後のキャリアプランはどのようなもので、またどのようにして働きたいかといった望ましい労働環境についてお聞きしました。

スリランカから日本へ~勇気ある一歩と行動力

Q:なぜ日本に来て働くことを決めたんですか?

子供の頃、日本について知りました。明治から昭和にかけての激動の時代を過酷な奉公・戦争・家族の苦難を乗り越えながら強い意志と努力で人生を切り開く物語である「おしん」というドラマが、日本について考えるきっかけになりました。それからは私は日本はどんな国なのか、日本人はどんな人なのかと考えました。そして、日本語の勉強を始めました。さらにビジネスを始めたいという気持ちもあって、その時通っていた学校に外国に留学できるプログラムがあったから、日本に行くことを決めました。

Q:日本に来るにあたって不安はありましたか?

いいえ、ありませんでした。日本に行くことに対しての不安はなかったんですけど、家族と離れることだけがすごく寂しかったです。

Q:なぜ今働いているレストランで働こうと思ったんですか?

さっき私はビジネスをしたいと思って日本に来たと言ったと思うんですけど、私が始めたいと思っているビジネスはレストランを経営することなんです。スリランカにいた頃、私はよく家族に料理を作って振る舞っていました。その時、美味しそうに料理を食べて幸せそうにしている家族の姿を見て、料理を仕事にしお客さんの幸せそうな姿も見たいと思ったんです。私は将来レストランを経営するために、今はレストランで働いて実際に料理を作って提供し練習しています。

スリランカと日本~働き方のギャップに揺れながら

Q:現在はどのくらいの頻度で働き、また職場の雰囲気はどうですか

シフトによって変わりますが、週に5日働き、2日休みをもらいます。しかし、働く時間は午前11時から午後11時で固定で夜遅くまで働き残業します。職場の雰囲気については、一緒に働く社員さんもアルバイトの人もみんな優しいので、楽しみながら働けています。職場には外国人が2人、私とバングラデシュの人がいますが、私達以外はみんな日本人です。それでも、みなさん優しく接してくれて、仕事も手伝ってくれます。だから幸せです。

Q:スリランカと日本の働き方は違いますか

本当に違います。4つ違うところがあって、1つめは働く時間です。私はスリランカでは、市役所で働いていましたが、働く時間は今よりも短くて午前8時から午後5時まででした。そして、2つめは職場環境です。スリランカでの職場はとてもフレンドリーですが日本はちょっと違います。例えばスリランカでは、一緒に働いている人とは友達みたいに接し、働く人のことを兄、姉と呼びます。でも日本では、一緒に働く人には必ず「さん」付けします。3つめは、スリランカでは働いている時に、忙しそうに働いている人がいれば声をかけて、手伝いますが、日本では自分の仕事は自分の仕事です。日本ではルールを守るところがありますが、スリランカでは、ルールはちょっとずつ変わります。こうした方がいいと思った時はみんなで集まって度々話し合います。だから固定したルールはありません。

Q:スリランカで働くことと、日本で働くことではどちらに満足していますか

国によっていいところとこうしてほしいと思う部分があります。スリランカはちょっと給料が低いけれど、日本は給料が高いのでそこがいいと思います。職場環境はスリランカの方がフレンドリーで働きやすくて、たくさんリラックスできる環境があります。でも、日本ではそこの部分は窮屈に感じることがあります。そして、スリランカでは、仕事の終わる時間が早いので十分に家族と一緒に過ごす時間をつくれます。でも日本では、夜遅くまで働くので、家族と一緒に過ごす時間はないです。こういった部分からスリランカにはワークライフバランスがあって、日本にはあまりないと感じます。みんな長い時間、仕事だけをします。

 

    

改善を願い、諦めずに進む日々

Q:日本の働き方で変わってほしい部分はありますか?

ワークライフバランスを日本でもゆっくりでいいので改善してほしいです。残業時間をもう少し短くして家族との時間も確保できるようにしてほしいです。1日8時間労働で十分で、残業をしたとしても、1〜2時間あれば足ります。そうすればワークライフバランスもスムーズです。でも家族の時間を大切にしながら働きたいと思っているけれど、今私は若くて働くことを頑張る時期だし、私は女の子でも1人で暮らせるほど、とても安全な国である日本が好きです。また、この国では誰もがルールや規則を尊重していて、規則のもとで、この国を愛しながら自由に生きられる、そんな日本で私は働きたいと思っているから、今は頑張って働きます。

未来の自分は?ビジネスを志すスリランカ人のリアルな夢

Q:将来はどんな人になりたいですか

中小企業のオーナーになりたいです。今私は30歳ですが、40歳、50歳になる時には自分のビジネスを始めたいと思っています。料理を作るのが好きなので、レストランを経営したいです。しかしレストランとはいえ、雰囲気はカフェのようにしたいと思っています。来店していただいたお客様に美味しい料理と温かいサービスで、また来たいと思ってもらえるようなお店にしたいです。日本でビジネスを始めるかどうかはまだ確定していませんが、もしビジネスを始めるとしたら、スリランカよりもカフェの需要が高い日本で始めたいんです。

Q:今後のキャリアプランについて教えてください。

家族と長い時間過ごしたいです。スリランカではみんな優先事項は仕事ではなく、家族で、家族が1番大事でその次が仕事です。今は、ご飯も職場で食べることが多いですが、夜ご飯だけでも家族と一緒に食べたいです。そうすれば、みんなで色々話すことができます。

Q:理想のワークライフバランスを叶えるために、今働いている職場にどのようなサポートがあればうれしいですか?

今でも休みがほしい時は店長にいって、休みをもらいます。そうすればちゃんと自分の予定も確保できます。あとは残業がもう少し短くなれば、家族との時間も作れるようになって良くなると思います。

 

(インタビュー:2025年11月)

Related Articles関連記事

境界線を越えて協働する
「やさしい日本語」より先にある「やさしい心」

境界線を越えて協働する

「やさしい日本語」より先にある「やさしい心」

大学事務員向け英語研修講師/翻訳担当
モーガン・ハーンさん

アメリカ出身のモーガン・ハーンさんは、以前はALTとして活躍し、現在は仙台にある大学で翻訳業務と事務職員向けビジネス英語研修に携わる言語の専門家です。日本での生活や教育現場での経験を通して、外国人と日本人が協働するためには「やさしい日本語」…(続きを見る)

私たちが
取材しました

法政大学

共生の鍵はあなたの「理解」 ~いじめ・差別の経験から学ぶ~

境界線を越えて協働する

共生の鍵はあなたの「理解」 ~いじめ・差別の経験から学ぶ~

NPO法人CINGA エスニックコミュニティコーディネーター
クリスティーナあけ美さん

ご両親が日本人で、ブラジル生まれブラジル育ちのクリスティーナさん。大学在学中は日本へ留学されたこともあったそうです。その後、2009年に日本へ引っ越し、働き始めました。現在はCINGAというNPO法人で、情報が届きにくい方々を支援するエスニ…(続きを見る)

私たちが
取材しました

法政大学

法政大学

カミングアウトしなくてもよい世界へ

境界線を越えて協働する

カミングアウトしなくてもよい世界へ

会社員
ライアンさん

アメリカのカリフォルニア州出身で小学5年生の時に歌手のGACKTに興味を持ち、21歳の時に日本に引っ越してきた。アメリカの中でもカリフォルニアというLGBTQ+に対しての考えが進んでいるところで育ったライアンさんが、世界的に見ても相対的にL…(続きを見る)

私たちが
取材しました

法政大学

法政大学

帰化者として外国人をサポートする情熱

境界線を越えて協働する

帰化者として外国人をサポートする情熱

通訳、IIA子ども日本語教室代表
田嶌芳恵さん

台湾宜蘭県出身の田嶌さん(旧姓:陳鳳英)は、1982年に日本人男性との結婚を機に来日し、現在まで42年間日本で生活を続けています。その間、アートフラワーの教授資格を取得し、異文化適応と外国人支援活動に情熱を注いできました。現在は、市川国際交…(続きを見る)

私たちが
取材しました

法政大学

法政大学

「武士に二言はない」文化に飛び込んだ経験

境界線を越えて協働する

「武士に二言はない」文化に飛び込んだ経験

モンテレイ工科大学の教授 (リサーチ・プロフェッサー)
ラファエル・バトレスさん

メキシコ国立自治大学(UNAM)で学位取得後、フランス石油研究所、豊橋技術科学大学、東京工業大学資源化学研究所といった研究機関で、研究にも指導にも活躍してこられたラファエル・バトレス先生に、日本企業、また、研究分野で体験されたことについてお…(続きを見る)

私たちが
取材しました

関西外国語大学

関西外国語大学

何もしないことが幸せ? フィンランドの人生観

境界線を越えて協働する

何もしないことが幸せ? フィンランドの人生観

株式会社フィンコーポレーション 北欧のカルチャーが体験できるカフェ&ショップ「Hyvää Matkaa!」プロジェクトマネージャー
Noora Sirola(ノーラ・シロラ)

世界幸福度ランキング6年連続1位のフィンランド。一方の日本は47位(2023年度)。これは主要七か国(G7)の中で最も低い。フィンランドの魅力を知ることで、新しい価値観を得ることができるのではないかと考えました。そこで日本とフィンランドを繋…(続きを見る)

私たちが
取材しました

法政大学

私のヘアメイクの仕事 〜在日コリアンの結婚式を支える〜

境界線を越えて協働する

私のヘアメイクの仕事 〜在日コリアンの結婚式を支える〜

ヘアメイクアーティスト
任志向さん

在日コリアン*3世で、在日コリアン向けのブライダルヘアメイク担当。小学生から高校生まで朝鮮舞踊を習い、舞台衣装やメイクに触れる機会が多く、もとから関心があった。そのため、在日コリアン専門のヘアメイクアーティストがいることを知り、技術を習得す…(続きを見る)

私たちが
取材しました

法政大学

二丁目の私たち ~在日外国人のLGBTQ~

境界線を越えて協働する

二丁目の私たち ~在日外国人のLGBTQ~

friendsbarのオーナー
上一佳さん

中国人レズビアンで、日本に来て15年。新宿二丁目でFriends barというLGBTQバーを経営している。日中英韓OKで、今年でオープンして5年目。誰でも気楽に来れる店を目指している。名前の通りこの店は自由でみんなフレンドリーだ。店のスタ…(続きを見る)

私たちが
取材しました

法政大学

ルワンダでの「写ルン族プロジェクト」 ~一人ひとりが自分の人生の主人公(ヒーロー)である世界へ〜

境界線を越えて協働する

ルワンダでの「写ルン族プロジェクト」 ~一人ひとりが自分の人生の主人公(ヒーロー)である世界へ〜

株式会社Brave EGGS代表取締役社長
香川智彦さん

サラリーマンののち大病を二度経験し自分のやりたいことができなくなった時、命の使い方を考え「圧倒的にわがままに生きる」と、自分が大切だと思うことのために自分の命を使うことを決意。 写真家としての活動の他、地方創生やアート系プロジェクトなど様…(続きを見る)

私たちが
取材しました

法政大学

おせっかいの輪を広げる

境界線を越えて協働する

おせっかいの輪を広げる

NPO法人こあら村スタッフ
佐藤法子さん、嶋田朝子さん、藤岡邦子さん、藤野令子さん

東京都大田区で活動するNPO法人こあら村。2002(平成14)年、前理事長の故高山久子さんが、「使用していない自宅二階部分を地域の福祉に役立てたい」と周囲の友人知人に相談したことから始まりました。「子育て中のお母さんが、楽しそうに見えないと…(続きを見る)

私たちが
取材しました

法政大学

夢と個性を「つくる」音楽

境界線を越えて協働する

夢と個性を「つくる」音楽

指揮者 / クラシカルDJ / アーティスト
水野蒼生さん

音楽界に史上初の「クラシカルDJ」という斬新で独創的な風を吹き込む事に成功し、メジャーデビュー。ザルツブルク・モーツァルテウム大学 オーケストラ指揮及び合唱指揮の両専攻の第一ディプロム(学部相当)を首席で卒業し、世界を股にかけた指揮者として…(続きを見る)

私たちが
取材しました

法政大学

着物はファッション

境界線を越えて協働する

着物はファッション

着物研究家
シーラ・クリフさん

イギリス出身。着物との出会いは、日本に訪れた際に立ち寄った骨董市。当初は日本について何も知らなかったが、着物文化や日本のファッションについて、様々な勉強や研究を行ってきた。現在は着物研究家として着物に関する研究を行う傍ら、大学での講義や著書…(続きを見る)

私たちが
取材しました

法政大学

「日本に来てよかった」そう思えるように

境界線を越えて協働する

「日本に来てよかった」そう思えるように

株式会社ジャフプラザ 営業本部長
菊野英央さん

株式会社ジャフプラザは主に、ゲストハウス(J&F House)の運営・管理、仲介業、外国人向け不動産の物件紹介サイト運営を行っています。今回はその中でも、様々な国の外国人と日本人が共同生活しているゲストハウス(J&F House)に注目しま…(続きを見る)

私たちが
取材しました

法政大学

アートを通してつながる世界~Kids helping Kids~

境界線を越えて協働する

アートを通してつながる世界~Kids helping Kids~

子供地球基金代表
鳥居晴美さん

息子さんのために作った小さな幼稚園から始まった「子供地球基金」。創設以来40か国以上の国々に足を運び、世界中で絵を描くワークショップを行い表現することの大切さを伝え、子どもたちの思いを文化や国境を超えたメッセージとして発信している。アートを…(続きを見る)

私たちが
取材しました

法政大学

やさしい日本語でつなぐ外国人との絆

境界線を越えて協働する

やさしい日本語でつなぐ外国人との絆

日本語教師・一般社団法人やさしいコミュニケーション協会代表 
黒田友子さん

皆さんは、やさしい日本語を知っていますか。やさしい日本語とは、日本で暮らす外国人にとってわかりやすい日本語であり、外国人へ情報伝達の方法として誕生した言葉です。現在のコロナ禍でも、日本には多くの外国人が住んでおり、情報を必要としている人々が…(続きを見る)

私たちが
取材しました

法政大学

まずは来てみて!

境界線を越えて協働する

まずは来てみて!

NPO法⼈ ⻄東京市多⽂化共⽣センター 理事
⽥辺俊介さん、⽥村久教さん

外国⼈にとって住みやすい社会をめざして⽀援を⾏うNPO 法⼈⻄東京市多⽂化共⽣センター(NIMIC)の理事を務めている⽥辺さん、⽥村さんにお話を聞きました。NIMICは、西東京市から西東京市多文化共生センター(以下センター)の業務運営を受託…(続きを見る)

私たちが
取材しました

法政大学