「エコ~るど京大」について
Q:この団体に参加されたきっかけを教えてください。
高校生の時に京都大学の研究室が高校生向けに提供しているプログラムがあり、それに参加しました。そのプログラムの中に、ごみの研究で有名な浅利先生のプラスチックに関する講義があり、私はその講義を取っていました。そこで、「エコ~るど京大」という団体の存在を知り、興味を持ちました。私はその時から京都大学志望だったので、もし京都大学に合格したらエコ~るどに入りたいなと思っていました。

団体紹介
Q:エコ~るど京大ではどんな活動をしていますか。
エコ~るどの活動はいろいろなものがありますが、メンバーは、それぞれ全部の活動をやっているわけではなくて、自分の興味がある活動中心に参加します。例えば生き物に興味ある人ならバイオスクープにメインで関わったり、プラスチックに興味がある人ならプラスチック関連の活動を中心にしたりと、おのおのやりたいことを自由にやっています。必ずしも環境問題のことや、SDGsのことしかしてはいけないというわけでもなくて、やりたい企画があったらどんどんいろいろな人を巻き込んで活動ができるような団体になっています。
SDGsについて(自分自身と大学)
Q:SDGsに関して毎日の生活ではどんなことを心掛けていますか。
SDGsの「自分ごと化」というのをエコ~るど京大では目標にしています。なので、私たちメンバーも「自分ごと」として捉えなきゃいけないなといつも思っています。環境問題を考えていく中で、この問題はとても深刻な問題なので、自分一人がそれに対してしようがしなかろうが何も変わらないのではないかと思ってしまう瞬間がたくさんあります。でも、そういう考えの積み重ねで大きな問題が生まれてしまっていると思うので、自分だけでもちゃんとごみの分別をしたり、マイバッグを使ったり、マイボトルを持ち運んだり、ちょっとしたことだけでもするというのは大切だと思って、いつも心がけています。そして、私がそういうことをすると家族も影響されたり、家族が職場などでやっていたら、その同僚も影響されたりします。そんなふうに少しずつ変わっていたらそれは大きな動きになると思うので、普段から意識しています。ちなみに、私よりもっと徹底してプラスチックを使わないようにしているメンバーもいます。

京都大学構内に設置したウォーターサーバー
Q:京都大学の学生の環境に対する意識はどうですか。。
すごく人によって差があるかなと思います。私は今農学部にいるので、農学部の学生の中には比較的に環境問題などに関心を持ったり、意識があったりする人はいるかなと思います。ですが、やはり実際、普通の学生生活を送っていて、プラスチックを多く使うことなどにあまり抵抗がなかったり、意識していなかったりすると感じます。たぶんみんな、なんとなく心の中に興味は持っているけれど、いざ自分の行動としては移せなかったり、何から始めればいいかわからなかったりする人も多いかなという感じがします。
京大自体は、環境問題対策にかなり力を入れていると思います。例えば、生協では「はがす弁当」という弁当が売られています。これは、食べた後に、汚れている表面を全部剥がして中身をきれいな状態のプラスチックにして、分別して捨てられる弁当です。また、食堂で竹箸が導入され、現在、実験的に使われています。他にも、京大の文化祭では、ごみ分別が徹底されて厳しいです。そのようなシステムが整っているので、自分からやらなくても、自然と環境保護活動に取り組むことができるようになっていると思います。

生協で売られている、リサイクルできる容器を使用した「はがす弁当」
Q:この団体に参加して自分のSDGsに対する意識の変化はありますか。
高校生の時はなんとなく興味があって、勉強してみたいなという感じだったのですが、エコ~るど京大に入っていろいろな活動をしたり、いろいろな方のお話を聞いたりしたことで、実際にどういうことをしたらいいのか、どういう問題があるのかということを学ぶことができました。そういう意味での意識は変わっているかなと思います。
Q:エコーるど京大に参加されてから現在まで苦労されたことはありますか。
この団体の特徴は、普通のサークルとは違い、学生や社会人の方とのつながりがあるということです。なので、加入した最初の頃は、全く面識のない方の集まりに入っていってお話をするようなこともありました。また、議論のファシリテーターの仕事や、面識のない方とのメールでのやり取りなどは、あまり環境問題に関係はないものの、エコ~るどの特有の苦労というか大変さではあったかなと思います。他にも、やはり、環境問題というのは大きい問題なので、活動していても、「これってやる意味あるのかな」と思ってしまうことが多いです。そのように考えないようにすることはなかなか難しいかなと思いながら日々活動をしています。
Q:この団体に参加して、やりがいを感じたこと、よかったと思ったことがありますか。
いろいろな方と知り合えるというのは大変さもありますが、その反面、普通に学生生活を送っていたらなかなか話す機会をいただけないような方とお話しさせていただいて、交流させていただく機会がもらえました。自分が見ていた環境問題とは違う視点から学べたり、実際にごみ拾いをしたりなど、いろいろな活動をしていくとやはり見え方が全然変わってくるので、実際それが環境問題に何か影響を与えているかどうかわからないんですが、私にとっては素晴らしい学びになりました。
SDGsについて(京都市)
Q:京都の市はSDGに関する意識は高いと思いますか。
やはり、京都ではごみ分別のルールはすごく厳しいですね。私の地元の兵庫では、ごみをそこまで細かく分別する必要はありませんでした。特に、プラスチックと燃えるごみを分けずに一緒に捨ててしまうことに抵抗がありました。それに対して、京都では、きちんと分別をしないといけなくて、ルールが厳しくてやはりすごいと思いました。それに、教育などもしっかりしていると感じます。亀岡市に一回講義に行かせていただいたことがあるのですが、その時に、そこの小学生の皆さんがとても環境問題について詳しかったです。やはり環境教育も徹底されていると感じました。
未来について
Q:この団体はこれからどのような活動をしていくでしょうか。
基本的な軸としては、変わらず活動していきたいなという思いがあります。ただ実は最近かなりのメンバーが卒業してしまったなどで、メンバー構成がかなり変わりつつあって、今まで通りの活動を継続するというのがなかなか難しい状況になっています。だから、現メンバーまた新しい企画を立てていきたいと考えています。特に、最近は京北地域やユースサミットなどのような学外での活動が増えてしまって、あまり大学構内での活動ができていないなと思っています。そのため、今年からは大学構内での活動を増やすべく、マイボトルの普及活動やエコ~るど内での勉強会なども始めています。実はこれまであまり自分たちが学ぶ機会もなく、外で頑張って活動するような形になっていたので、勉強会をしたり、ゆくゆくはその勉強会も外部の方をお招きしたりして、もっと自分たちが学べる機会を増やしたいなと思っています。この勉強会についても、枠に縛られず、興味あることだったら、やってみようというふうに、割と広い範囲でやりたいと考えています。個人の興味の方向もバラバラなので、おのおのそれぞれが興味あることについて聞けたら楽しいかなと企画しているところです。
記事を読む人に伝えたいこと
Q:環境問題に関する活動を始めたいが何から始めればいいか分からない人にメッセージをお願いできますか。
身の周りの小さいことから始めるのが始めやすいと思います。私の場合、普段からやっていることは、海に行った時にごみ拾いをしたり、日常生活でごみの分別をきちんとしたり、コンビニに行った時にお箸やレジ袋がいらなかったらちゃんと断ったりするということだけです。とても特別なことをやっているわけではないです。
どのようにそのような習慣が維持できているかというと、何となく常に根底に、基本的に必要ないものは使わないでおこうという意識を持って、それが自然なことになっているかなという気がします。
そして、始めたいと思うなら、最低限のことから始めるのが良いと思います。例えば、ごみの分別は基本的なことだと思いますが、実際、大学で分別のごみ箱を置いていても結構守られていないことが多いです。なので、ごみ分別という基本的で最低限のことから徹底できたらいいのではないかなと思います。
その他に、エコ~るどの活動紹介リーフレットの裏面*にも簡単にできることを載せています。電気の使用を控えることなど、割と当たり前なことを多く載せているのですが、意外と実際にきちんとやろうと思うと難しいです。なので、意識しながら頑張って実践して頂ければ嬉しいです。
私も元々存在していた団体に入っている身で、一から始めたわけではありませんが、活動してみて、意外と環境に関する活動をやってみたいと思っている人は多いのかなと感じています。完全に一から始めようとするよりは、一旦元々あるイベントや団体に参加してみて、そういう人とのつながりを作ることから始めてもいいと思います。その上で、例えば周囲の人を誘ってごみ拾いに行ったり、SNSで呼びかけたり、自分の周りからでも始めるのが良いと思います。私も一から始めたわけではないので、もともと存在しているものに頼りつつ、自分のできること、自分の周囲のできることから実践していくというのが、一番手軽に始めやすい方法ではないかなと思います。
(インタビュー:2025年7月)